この本は、今までの「三浦しをん」の小説のスタイルをとってはいるが、いささかドギツク、特別な感覚と思考の持ち主を書き表しているように思えた。小暮荘の住人を1人ひとり取り上げ、その短編が寄り集まり、小暮荘に住む人たちとして、1つのまとまりを見せている。 ・「シンプリーヘブン」は、花屋に勤める繭という女性のところに、元カレと今彼とが鉢合わせし、同居する話である。 ・「心身」は、小暮荘の大家である…
原作は三浦しをんの傑作小説「風が強く吹いている」 大学のオンボロ寮で毎日青春を浪費してぐうたらしている10人の若者達。 陸上経験者はハイジとカケルの二人だけ。そんな寄せ集めの若者達がハイジの情熱に引っ張られて箱根駅伝の出場を目指して愚直なエネルギーを燃焼させる笑いと涙の青春群像劇。 数年前原作を読んだ時もラストシーンで涙したが、映画では予選会通過からウルウルが始まって最後の箱根駅伝のレースでは…
夏の映画月間四作目は「舟を編む」、原作は三浦しをんの小説である。 何十万語も収録した辞書をつくるというのは、考えただけで気の遠くなるような作業である。15年かかって新時代の新しい辞書をつくった出版社編集部のお話。 無人島に一冊だけ本を持って行くとしたら辞書と答える人がいる。なるほど、どんな面白い本でも無人島で何十回何百回も読めると思えない。何十万語もある辞書なら、喜怒哀楽聖俗森羅万象、この世…