英会話不要論

行方(なめかた)昭夫の「英会話不要論」を読了した。著者は東京大学および東洋学園大学の名誉教授であり、専門は英米文学で、サマセット・モームやヘンリー・ジェイムズの作品の翻訳者としても有名である。また、英語翻訳者の教育に長年携わってきたことで知られる。本書は、「読み・書き」から「話す・聞く」へのシフトを強め、英語教育の低年齢化を推し進める文部科学省の施策およびそれを良しとする世間の風潮を真向から批判したものである。
 本書のタイトルはかなり刺激的であり、著者も意図的にそれを用いている節があるが、実際のところは「英会話早期教育不要論」である。
 第1部の「英語