あれはいつの日だったろう。
カラオケの宴で、マイクを手に取り、見知らぬ女性が歌う一曲の唄。
お酒もほどよく酩っていたせいでもあっただろうか、震える感動を覚えた。
その曲こそ石川さゆりが歌う「おはら風の盆恋歌」である。
その感動を忘れえず、年月を経てその舞台でもある越中は八尾を訪れた。
もうその季節だろうか、静まりかえった古い通りの一角からは、三味の音が聞こえる。
やがて九月一日を待つと、この町もざわつき、「おはら風の盆の踊り」の季節となり、昼夜踊り狂う。
幾度となくツアーで