祖父木原伊之助 記憶の花束 (13)

「伊之助祖父と武丘(たけおか)」

 私にも少しは賢いところがあるという話をしよう。この母方の祖父は本当は性格のきつい男らしかった。

 物心つくようになった私がとても悲しかったのは、祖父が祖母を叱ったり非難したりがエスカレートして、娘たちを呼んで家族会議のようなことになった時だ。

 その時初めて見たのだ。大好きな祖父母のいがみ合いを。その場に座っていた。隣にいたのは弟だったのか、該当する子供がわからない。
 私は涙をこぼしながら、無理に笑おうとしつつ、
「おかしかねえ、大人がこげなけんかして、おかしかねえ」
と、その子に言った。書きながら今でも涙がこ