学校へ通う 記憶の花束 (14)

**三年生まで 鹿児島市中洲小学校

「ランドセルの一件」

 幼稚園を退学した私は、多分性懲りも無く入学を楽しみにしていただろうと思う。

 ランドセルを買うことになり、親が暗に言い聞かせていたシンプルな皮ランドセルを見に行った。すると思いもかけず、チューリップの花柄のついた赤いランドセルがあった。それを見た途端、急に欲しくなった。
 ごねたような記憶はないが、見るからに質は良くなさそうだったのに、両親はそれを買ってくれた。安かったのかもしれない。
 私は自分の軽薄さが少しわかっていて、内心少し面映ゆかった。
「すぐこわるっかもしれんよ」と母が帰りがけ