季巡り短歌 2015年夏その3「時のあちこち」

また季節とは関係なさそうな短歌ですが。

「時のあちこち」

らふばいに引き止められて知己なれば不遇を託つこの羊年 ==春ごとに出会う駅近の蝋梅の花

百近き母の記憶の虚ろにて父と兄との行方聞きたがる 

「お先にと逝ってしまった」をのこ達母に語りて声の震ひぬ

頼りにし人ら逝きたり逼迫の「どうしたらいい」問ひはさまよふ

あさゆふの竹林浄土よざくらの散る音もする吹田なりにし ==関西の都市

平成の四半世紀を蝉時雨ふるこの町に泣くこと多かり

鍋つかみを手作りするも弾みたる若き心の我のありたり

小さき花愛でて飽かずに母と娘のそぞろ歩きの語り飽