蒙古襲来の真実

 服部英雄の「蒙古襲来」を読了した。著者は九州大学比較社会文化研究院名誉教授で、専門は日本中世史である。本書は、従来合理的説明に欠けるところのあった蒙古襲来(元寇・文永弘安の役)を、「蒙古襲来絵詞」をはじめとする史料を徹底的に読み直すことにより見直したものである。
 蒙古襲来は元皇帝クビライハーンの命令によるものであるが、著者は先ずクビライの目的が火薬の原料である硫黄の確保が目的であったとしている。硫黄は中国では殆ど産出しないが、その硫黄を当時の日本がモンゴル(元)の敵国である南宋のみに輸出していたことが蒙古襲来の最大原因とし、日宋貿易が盛んであった証拠