もうひとつの春

良く晴れた薄水の空を流れる白い雲は

早送りのようにその姿を変えてゆく




風は唸りを上げて

次から次と木立ちの間を駆け抜けていく

右に左に縦横無尽に駆ける様は

風小僧の悪戯よりも激しい




疾風の中をトンビが低く舞う

荒波に立ち向かうサーファーのように

その強い風を楽しんでいるのか?

それとも、もがいているのか?




大木の陰に

身を潜めるように咲いている小さなタンポポは

風に他向かう事もせず

逆らう事も良しとはせずに

ただ在るがままにその花を揺らしている




それも、これも春の風景のひとつ


それぞれがそれぞれで