「優しき心」はいずこや-祖母ごろし


厳しき言葉あったか、憎しみ吹きでたのは。
「嫌なこと言われた」孫が祖母を殺害。

「なにをぶらぶら、男は働け」と世間でよくある言葉を祖母は投げつけたか。
「言われた」孫は逆上し、言葉の反撃だけでなく、殴り殺してしまった。

あわれ、老婆。
「嫌なこと」を言わねばよかった。
できれば、口なし人となり、孫には関わらねばよかった。
できれば、相づち人となり、そうか、そうかと聞くのみならばよかった。
できれば、分かり人となり、働かぬ孫のこころ病(やまい)を分かってあげればよかった。

あわれ、孫。
祖母殺しなどせねばよかった。
できれば、可愛がられた幼きときを