連載:運慶から

「年末年始並みの寒さだという」

冬用の分厚いタイツを穿き、その上に普通のズボンを穿き、その上に風を通さない雨具のズボンを穿いた。それでも、バイクは寒かった。

お蔭で着いたらすぐに診てくれる歯医者の椅子に座った後も、まだ冷たい空気の層が体中を覆っていた。

長年行かなかった歯医者に行く気になったのは、ジョギングクラブの女性が「全然痛くない歯医者なのよ」と教えてくれたからだ。

「麻酔の注射も痛くないの」という言葉通り、虫歯になった「親知らず」を抜く時も全く痛みはなかった。それからほぼ週に一度の割合で通っている。

私はおばさんになってもまだ乳歯が残っていて、それが右横の真ん中あたりだっ