執事の回顧で語る大英帝国の衰退(日の名残り)

 いまや知らない人もいないカズオ・イシグロの作品だ。本作は1989年に著者3作目の長編小説として世に出たものだ。イギリスで最も優れた長編小説に与えられるブッカー賞を受賞した。

 ダーリントン・ホールの執事を務めるスティーブンスはアメリカ人の主人から、主人の留守中に国内旅行を勧められる。主人の豪華なフォードをガソリン付きで貸してくれるという。そこでスティーブンスは20年前にダーリントンをやめたミセス・ベンに会いに行こうと決断する。ミセス・ベンはやめる前は女中頭をしており、結婚してやめたのだった。不幸を思わせる手紙を受け取っていた。

 ダーリントン・ホー