初春に七宝の指環とバッグ買う

   「アロマ」の句


 無人駅桜吹雪の浮遊して

 山間の鹿居る里の蕎麦処

 懸賞の蜜柑葉付きで届いたり

 俵島半島奥まで行ってみて

 赤い傘差して梅雨の一日過ぐ

 駅前のデパートで買う誕生祝

 道渡り教会への道蛇行する

 バナナのアイス蕩けて母褒める

 モネ展を訪い教会までの道

 初春に七宝の指環とバッグ買う


   「高野素十」の句


 街路樹の夜も落葉をいそぐなり

 火曜日は手紙のつく日冬籠

 噴煙を追ふつぎつぎの冬の雲

 真青な葉も二三枚返り花

 水鳥を見る人の中に宣教師

 黄楊の雪大きく割れてゐたるかな

 た