私の読む源氏物語 賢木 (さかき)

 賢木 9

 そのころ、尚侍の朧月夜が内裏から退出して里の屋敷に帰っていた。彼女は瘧病(わらわ‐やみ)に長く患い一向に治る兆しがないので、自分の屋敷で気楽に加持祈祷などをして貰おうとのことであった。

 修法などを積んだ加護のお蔭か、やっと回復したので一家中みんなが喜んでいる時に、めったにない機会だからと源氏と示し合わせて、何とか家人をごまかして無理に、毎夜毎夜逢瀬を楽しんでいた。

 朧月夜は女盛りで、豊かな体で派手な感じがしていた人が病んでほっそりした感じになったところなどは、実に女の魅力が一杯に発散していた。

 弘徽殿后宮も同じ邸に居るので、目