私の読む源氏物語 賢木 (さかき)

 賢木 8

 年も改まった源氏二十五歳。桐壺院の喪も空けて宮中は正月恒例の行事が次々と催され賑やかである。文人を宮中に呼び管弦や帝から題が出て詩歌を競う内宴、都に住む男女から歌に巧みな者達を招いて、年始の祝詞を足を踏みならして歌い舞う踏歌は正月の一四日または一五日が男、女踏歌は一六日に開催されていた。

 藤壺はそれを聞くと昔を思い出し桐壺帝と並んで見ていた頃をしみじみとした気持ちで記憶を追っていた。そして勤行をひっそりと勤めながら、出家したこの先のことを考えると、末頼もしく、源氏の強引な行動に振り回されたことなどを、遠い昔の事に思われた。

 いつも