蝦夷の旅雲丹軍艦を頬張って

   「アロマ」の句


 潮騒の石ごろごろと巻き込んで

 米塚の天鵞絨の碧艶やかに

 盛岡城の薔薇園に陽当たりて

 生成りの肉厚の花泰山木

 木の芽和え筍の香の瑞々し

 蝦夷の旅雲丹軍艦を頬張って

 稚内公園に見る海蒼く

 霧懸かる知床峠ドライブす

 菖蒲池二人傘差し巡り行く

 夾竹桃燃え立つかに青い空


   「阿部みどり女」の句


 訪へば声なし金魚屋の遠くより

 菖蒲湯にうめる水白く落ちにけり

 独り居れば昼餉ぬきもし百日紅

 羅かけし屏風に透きて歌麿画

 川床に釣竿よりのとばつちり

 若葦や風におされて水の皺