元日散歩 ―今年もよろしくお願いします―

「お峰が引出したるは唯二枚、殘りは十八あるべき筈を、いかにしけん束のまゝ見えずとて底をかへして振へども甲斐なし、怪しきは落散し紙切れにいつ認めしか受取一通。
(引出しの分も拜借致し候        石之助)
 さては放蕩かと人々顏を見合せてお峰が詮議は無かりき、孝の餘徳は我れ知らず石之助の罪に成りしか、いやいや知りて序に冠りし罪かも知れず、さらば石之助はお峰が守り本尊なるべし、後の事しりたや」

大晦日、いつもとは違ってすることもなく、紅白歌合戦など興味なく、手持無沙汰にきょうにちなんでと一葉の「おおつごもり」を手にとったがあっという間に読み終えてしまっ