ワインカラーのブーツで歩く雪の中

 銀壺の花くれなゐに雪降る日  飯田蛇笏 家郷の霧

 駒鳥や大雪嶺に真横の陽  石塚友二 曠日

 鍬研いで忘れしころの雪降らす  能村登四郎

 君の遺著まづ雪の香の書といはむ  能村登四郎

 君は酒家へわれは駅へと夜の小雪  林翔

 軍港の兵の愁ひに深雪晴れ  飯田蛇笏 霊芝

 鶏が踏む根雪が蒼しガリレオ忌  飴山實 おりいぶ

 鶏たかく榎の日に飛べる深雪かな  飯田蛇笏 山廬集

 寒牡丹雪被てその緋ふかめけり   鈴木真砂女 夕螢

 寒卵刻一刻の雪明り  飯田龍太

 降る雪に独りの風呂を湧かすかな  鈴木真砂女 卯浪

 雪の夜に底