雪の日 縄文の幻想

 大雪の後一夜明けて今朝、巡回でマンションの屋上に出てみると秩父連山、大菩薩嶺がくっきりと見えていた。
 北には男体山はじめ日光連山、ビルの隙間から箱根の早雲山、反対側に筑波山。

そう、この景色は江戸の町民たちも、平将門も、坂ノ上田村麻呂も、そしてそのはるか古の縄文人たちも、これと大して変わらない山容を見ていたはずだ。

変わったのはその姿を遮る大小の建物。でも少し想像力の翼を広げてみるとビルたちはいっぺんに消え、遠くの山々のすそ野まで照葉樹や雑木の茂る武蔵野の台地が広がる。

そこに竪穴式住居や縄文人たちの生活の煙が穏やかに立ち上ってゆくのが見える。