兵士を使い捨て、それでも英霊と言う欺瞞「日本軍兵士」(吉田裕:中公新書)

最近、「本当は強かった日本軍」とか「日本軍は最強だった」「世界最強だった日本海軍」とか、何を根拠に・・・、と言う、最強伝説が散見される。しかし、本書を読むと、やっぱり大日本帝国は負けるべくして負けたことがよく分かる。

 本書は、日中戦争から終戦に至る「帝国の戦争」を、軍隊の歴史・・・「戦史」として正面から捉えた歴史書である。

 組み立ては、絶望的抗戦期の実態を描く「死に行く兵士たち」、「身体から見た戦争」、「無残な死、その歴史的背景」の三部構成としている。

 兵士はどのように死んでいったのか、終戦に近づくにつれ、戦病死や餓死が増える。戦病死と言って