「つまをめとらば」(青山文平) 「逢対」読後感想

 青山の「つまをめとらば」は、6編の短編から成っています。その中で、「ひと夏」、と「逢対」が、心に残りました。

「逢対」は、小十人組の下級幕臣である泰郎が、登場し、親子二代にわたり無役で、細々と暮らしをしており、算学の塾を開いています。三角形の内角の和が、どのような三角形であろうとも、180度になると知り、数学の面白さにのめり込んでいったようです。三角形の内角の和が180度であることは、断じて正しい、と新発見をした興奮から、

「この世には、まったく人の目には見えていないけれど、疑いようもない真の正しさが、あるということだ」(p174)

と、つぶやき