薄氷ぱりぱり割って通学路

 薄氷に透けてゐる色生きてをり  稲畑汀子

 薄氷に佇ちて羽衣鶴といふ  上野好子

 水溜り薄氷張ってミシミシと  アロマ

 薄氷の消ゆるあたりのうすあかり  康治

 薄氷のやうやくものを映しそめ  鷹羽狩行

 薄氷白き色もて彩れる  アロマ

 薄氷のわが影千々に砕かれし  中村苑子

 薄氷の上を流るゝ水少し  星野立子

 薄氷の天地に風あそびをり  高橋馬相 秋山越

 薄氷の中より草の立上る  星野椿

 薄氷の何も映さぬ巷かな  山田みづえ 草譜以後

 雨水のバケツの中の薄氷  中川ふみ子

 藁しべをくの字への字に薄氷  榎