春潮の蒼白波に縁取られ 

 あるときは春潮の鴎真一文字  飯田蛇笏 白嶽

 いつとなく解けし纜春の潮  杉田久女

 ぎく~と乳のむあかごや春の潮  原石鼎 花影

 ごつごつと引いてゐるなり春の潮  石田勝彦 秋興以後

 たらちねをおもへり春の潮ひかり  角川源義

 どの入江にもゆきわたり春の潮  鷹羽狩行

 ひた~と春の潮打つ鳥居かな  河東碧梧桐

 まつくらの春の潮の満干かな  高野素十

 みいくさにけふ春潮の鉦鼓鳴る  飯田蛇笏 白嶽

 一湾を孔雀としたり春の潮  岡井省二 大日

  三菱の春潮進水式濁り  山口誓子

  上総までかちわたりせん汐干潟