つるの寒ざらし

 明治維新150年と言われますが、私には忘れがたい話しがあります。浦上キリシタンは、金沢 名古屋、和歌山、四国、鹿児島などへ流罪。つるが流されたのは、長州萩でした。父親らが津和野の氷の池に投げ込まれるような拷問を受けていた頃、娘のつるはひどい寒ざらしを受けていた。
寒ざらしというのは、腰巻きひとつにされ、1週間食べ物も与えられず、外庭の石の上に朝から夕方まで端座させることである。1週間目のある日、同室の牢屋の婦人達が祈りを献げて、外庭のつるに目をやると、つるの姿が見えない。よく見ると、黒い髪が白雪の上に見えた。雪に埋もれてしまっていたのである。

 岩倉