古代アジアのグローバリゼーションとローカリゼーション

 森下章司の「古墳の古代史-東アジアのなかの日本-」を読了した。著者は大手前大学総合文化学部教授で、古墳時代の研究を専門とする考古学者である。本書は、古墳の時代の中国・朝鮮・日本(倭)を対象とし、日本と他地域に見られる共通点と相違点を、古代アジアのグローバリゼーションとローカリゼーションという観点で整理したものである。
 本書では、いわゆる「魏志倭人伝」等で「国」として記述された地域勢力の発展と統合を、渦巻の生成と発展になぞらえている。日本では紀元前一世紀から紀元後三世紀にかけて渦巻の統合が行われるのだが、中国の後漢王朝が弱体化した三国時代に、逆に日本で