雛の貌優し麗し臈たけて

 雛ずしの玉子に目鼻ありにけり  伊藤いと子

 雛の家ほつ~見えて海の町  原石鼎

 雛の家雑木山より朝日出て  斉藤美規

 雛の座を起つにも齢の骨鳴りて  石川桂郎 含羞

 雛あられ小鉢に盛って食べている  アロマ

 雛の日や雨に風出て隅田川  中村明子

 雛の瞳の一焦点に笑みたまう  細木芒角星

  雛の窓に真昼の海のかたむけり  山野邊としを

 雛の笑顔仕上げ雛師の不安な眼  加藤知世子 花寂び

 雛の箱父は能く書きたまひけり  大橋櫻坡子 雨月

 雛の節雲ひかひかとゆきにけり  臼田亞浪 定本亜浪句集

 ひな壇を随人サッと