テラスで春一番に晒されて

 およぎ見ゆ春一番の野の欅  皆吉爽雨 泉声

 かうしてはおられぬ性分春一番 高澤良一 素抱

 まつさきに花舗の戸叩く春一番 満田玲子

 ものを言って春一番に吹き飛ばされ 前田吐実男

 バスを待つ春一番を背なにして 小泉はつゑ

 句敵の句が口に出て春一番  嶋田麻紀

  呼ぶ声も吹き散る島の春一番  中村苑子

  呼鈴は空耳なりし春一番  田中湖葉

 山峡に星を片寄せ春一番 戸恒東人

  島の鳥船に来てをり春一番  中戸川朝人

 巻貝の奥に目覚めし春一番  佐藤成之

 一張羅裳裾はためく春一番  アロマ

 新聞に石のせて売る春