菜の花の黄色に染まる地平かな

 寝てさめて老いゆく花菜明りかな  長谷川双魚 風形

 対岸の菜の花 此岸の夕まぐれ  仁平勝 花盗人

 少年を女医呼びとめし花菜の中  保坂敏子

 体内の菜の花あかり野良着きて  平畑静塔

  傘の裏菜の花明り旅の我  上野泰

 月のぼる菜の花も黄を咲き揃へ  角川春樹

 有明の色をとどめて花菜汁  秋篠光広

 桃生けて菜の花生けて不足なし 後藤夜半(1895-1976)

 菜の花の黄色に染まる地平かな  アロマ

 春潮と菜の花に旅織りなされ  上野泰 春潮

 母と行く一筋道の花菜かな  中村汀女

 粗壁のらくがき暮るる花菜村