茗荷竹大葉と刺身の端に

 黒牛にかつと夏来て桑畑  臼井千鶴

 早春の火を焚いてゐる桑畑  永方裕子

 桑の花芽に先んじて咲きにけり  細木芒角星

 とろとろと湖に日が落ち芦若葉  清水行雄

 若蘆にうたかた堰を逆ながれ  杉田久女

 湯がへりの東菊買ふて行く妓かな  長谷川かな女

 勅使門径には樫の花こぼれ  伊藤冨美子

 赤樫の花と思わず空淡め  松田ひろむ

 バイカルの勿忘草に空高し  依田明倫

 水神へ勿忘草の日向道  伊原正江

 うす青い細かい花よ勿忘草  アロマ

 雨やさし勿忘草に降りにけり  佐藤美恵子

 雫して勿忘草の色褪せず  佐藤きみ