木蓮辛夷花咲く弥生かな

 弥生はや生絹かけたり那智の神  村上 光子

 弥生はや若葉し了へぬ柾木垣  石塚友二 光塵

 弥生卯月と遅遅たり籠に白よもぎ  金子兜太 詩經國風

 弥生哉野を行く馬の尾を結うて  竹冷句鈔 角田竹冷

 弥生土器出づるを八十八夜かな  中山純子 沙 羅以後

 弥生尽のぞきて暗き花鳥の間  有馬籌子

 弥生尽むらさき帯びし招魂祭  近藤 弘

 弥生尽烏賊が墨吐くはしりもと  石橋秀野

 弥生尽追ひ着せられて羽織るもの  能村登四郎

 弥生尽齢五十の膝の接ぎ  米沢吾亦紅 童顔

 弥生晴る葛刈り来し大原女  長谷川かな女 雨 月

 弥