絵本の列車満月を行く

 青唐辛子シルクロードの汽車揺れて  兼近久子

 青竹をつみし列車や今朝の冬  西山泊雲

 青山中音一切のぬけし汽車  松原地蔵尊

 青芦原列車から手を出している  永末恵子

 青む野に迅さを見せて汽車煙  津田清子 礼 拝

 逝く夏や犬に戯れ居れば夜汽車過ぐ  宮武寒々 朱卓

 西日が截る防雪林と汽車と濤  文挟夫佐恵 黄 瀬

 西行きの列車がら空きクリスマス  右城暮石 声と声

 西瓜割る汽車の厨房に海せまり  望月たかし

 正月晴汽車が見たくて岡に登る  村越化石

 星色に流れて過ぎて寒夜の汽車  対馬康子 吾亦紅

 星へ発つ