蝉殻を手に載せ遥か夏想う

 松蝉の殻を見つけつ水分へ  飴山實 花浴び

 石の上の熊蝉の殻消えゐたる  加藤秋邨

 蝉の殻見るにも女科つくる  右城暮石 天水

 蝉の殻拾ふも捨つもふたつ指  佐藤鬼房

 蝉殻に蝉の行方を問ひたしや  林翔

 蝉殻を時にくしやつとつかみけり  岡井省二 前後

 蝉殻を手に載せ遥か夏想う  アロマ

 蝉殻を朝見つけたる朴葉裏  細見綾子

 蝉声に乗じて蝉の殻拾ふ  鷹羽狩行

 足六つ不足もなしに蝉の殻  正岡子規 蝉の殻

 日本海早立ちの背に蝉殻一つ  金子兜太

 淋しさにころげて見るや蝉の殻  正岡子規 蝉の殻

 睨まれて閻