ビードロガラスの窓辺から
時を積んだドウーモの鐘の音が
しなやかな素足で
しのびこむ
「彼女」がそこにいることは
聞いていた
でも
なかなか会えない
宮殿(ウフィッツイ)の大きな廊下の
角を曲がったところに
ふっと
不思議な「気配」がする
薄紅色の花びらが空間を舞い
リュートの音色がきこえるような
少し薄闇の中に
「彼女」
はいる
彼女の名は
「プリマベーラ(春)」
手を広げて
抱きしめたい衝動こみあげて
逆に
巨大な自由の時代に生まれた
象げ色の胸に
全身まるごと
「呑まれる」
そのほほえみとともに
圧倒でも
驚きでもなく
た