筍が好き歯触りと竹の香と

 お寺の竹の子竹になつた  種田山頭火 草木塔

 ここらしづか筍を煮るにほひのみ  山口青邨

 たかんなの先を五重塔へ向け  鷹羽狩行

影売るに似たる筍月夜かな 鳥居おさむ

手に余る筍夫が截ち割れり 品川鈴子

 旭に生れて金葉冠る筍は  八牧美喜子

 更衣しんかんと筍をむく  原裕 青垣

 暁を掘る筍の露に濡れ  長谷川かな女 花寂び

 曲らざるはなき筍の気性かな  田川飛旅子

 朝掘りと大きな札を筍に  森田公司

  朝掘りの筍ありの札下がる  川端恵美子

 泥のまま筍かざる端午かな  龍岡晋

  浄土図に筍供へ当麻人