西瓜切る夜涼の一時楽しんで

 涼風にみどりごの息つまるばかり  山本歩禅

 涼風によき計画の又生れ  星野立子

 涼風に身を委ね碧に染まりゆく  アロマ

 涼風に飯食ふ主黄昏るゝ  尾崎紅葉

 間口より涼風吹き抜け坪庭へ  アロマ

 涼風の裂くばかりなる頁読む  中村汀女

 涼風の星よりぞ吹くビールかな  水原秋桜子

  涼風の曲りくねつて来たりけり  小林一茶

 涼風の一日夫を母にかへす  上野さち子

 涼風の筋に触れたる刹那かな  鈴木美那子

  涼風の自在吾よりも若僧に  野澤節子 黄 瀬

 涼風嬉し山肌転び来る  アロマ

 涼風やしづかに消ゆる宿篝