若葉色纏ってしずしず廊を行く

 目に見えて朴の若葉の育つ雨  福村ますほ

 楢若葉いさみ立つ風いまは熄む  野澤節子 未明音

 ひとりいて梨目ガラスに若葉かな  神谷美和

 ほととぎす啼くや若葉のはしり雨  立花北枝

 白玉を若葉におくや千団子  一 萍

  白雲の絶えず湧き出る若葉かな  三森幹雄

  百とせののち若葉する句なりけり  加藤郁乎 江戸桜

 みかぐらや若葉影さす春日宮 中勘助

 みな若葉黒きは雨の梅の幹  永井龍男

 皆まろき萩の若葉やきのふけふ  小杉余子

 ぬり笠や若葉にしづむ夕日かげ  水田正秀

 竹青く棚繕ふや藤若葉  会津八一

  筆