向かいのホーム空いていてそっち行く

 葛飾の月の田圃を終電車  川端茅舎

 強霜の飛騨の一番電車かな  木川夕鳥

 夏蝶の乗り来て電車軽くなる  都筑智子

 夏惜しむやはき電車の切符かな  久保草洋

 夏山の麓電車の来てかへす  倉田青

 高野山麓まで電車に乗って  アロマ

 夏河を電車はためき越ゆるなり  石田波郷

 稲架の香が新聞を読む電車まで  小原牧水

 一輌の電車浮き来る花菜中  松本旭

 無人駅電車降りれば花吹雪  アロマ

 一番の電車がら空き冬休み  小川 真砂二

 一年生電車の中を歩きをり  秋山未踏

 よく喋る幼子がゐて初電車  藤岡筑邨

 初夏