「早慶戦物語」④三原・水原の時代

昭和初期早慶両校に2人の傑物が入学した。1人は水原茂、もう1人は三原脩である。前者は昭和3年、高松商から慶応、後者は翌昭和4年高松中から早稲田に進学した。2人は生涯の好敵手として、東京6大学野球、それに続くプロ野球隆盛の礎を築いた。

水原は全国中等野球大会で全国制覇した高松商の投手兼三塁手で実にダンディだった。当時からその名声は全国に知れ渡っていた。かたや三原は四国の予選で水原に敗れ、唇を噛みしめながら水原の背をじっとみつめていた。しかし水原は雪辱を誓うその視線に気づいてはいなかった。

水原が慶応野球部に入部した昭和3年秋、慶応は10戦全勝で優勝した