私は高校三年間を女生徒だけの伝統ある女子高で育ちま
した。木造の校舎は、靴の音がこつこつとする歴史を感じ
させました。
高橋先生は、私が三年生のときの担任でした。いつも、
素敵なワンピースを着こなされ、ハイヒールを履いて教壇
に立たれていました。化学の先生で、とても、かっこいい
女性でした。
難しい授業の合間に、先生は、私たちの緊張をほぐす
為、ご自身の大学でのエピソードをよく語って下さいまし
た。戦後間のない当時は、大学で学ぶ女性が大変少なく、
各ゼミ二名だったそうです。そして、男子生徒からは、い
つも、硬し黒しと言われてい