花柄の傘差す舗道朝の街 

 これやこの春眠羅漢傘預け  桂樟蹊子

 さざなみの水辺にありし蛙の傘  今井杏太郎

 さしかくる時雨の傘や嵐雪忌  高見南天楼

 さしかける夢もあるなり時雨傘  橋石 和栲

 さしてゆく傘に時雨のおのづから  軽部烏帽子 [しどみ]の花

 さす傘も卯の花腐しもちおもり  久保田万太郎

 さみだれの傘さしもどる故郷かな  橋本鶏二 年輪

 しぐるると赤い傘さし老婆ゆく  深見けん二

 しぐるヽや残菊白き傘の下  尾崎放哉

 しぐれ傘かろきがたのし童話荘  西本一都 景色

 ししうどの花の傘添ふ瞽女の墓  八牧美喜子

 してゐる冬の傘