紫酢漿草(むらさきかたばみ)花の愛らしく

 かたばみが咲いてボンペイ遺跡かな  加藤世津

 かたばみに雨ぴちぴちと雀の子  矢島渚男

 かたばみの花うつほどの雨ならず 竹内素風

 かたばみの花に波音休暇村 木村蕪城

 かたばみの花の宿にもなりにけり  乙二

 かたばみの花の淋しきかぎりかな  高澤良一 素抱

 かたばみの花の混み合ふ仏通寺  垪和久仁子

 かたばみの花より淋し住みわかれ  三橋鷹女

 かたばみの花大足が踏んで過ぐ  河野友人

 かたばみの草に秘めある黄の花  高木晴子 花 季

 かたばみの黄が喚ぶ詣憶滅びし家  木村蕪城 寒泉

 かたばみや古都の果なる小漁