皿に盛る紅蓼いよよ艶やかに  

 蓼ほそくのびて台風圏に入る  藤木清子

  蓼をくふ虫はあるとや唐辛子  唐辛子 正岡子規

  蓼倒れの京の祭を見に来り  高浜虚子

 蓼嗅いで犬いつ失せし水辺かな  原石鼎

  蓼噛んでひとりこらえる思ひ哉  蓼 正岡子規

  蓼挿しぬふるさと人を想ふ日は  福永みち子

  蓼畑や落差小さき発電所  木村里風子

  蓼紅き燈台下まで出羽の国  佐野まもる

 蓼紅き道にゐざりて石仁王  下村ひろし 西陲集

  蓼紅しそよぎて父母は遥かな  石田波郷

 蓼紅しもののみごとに欺けば  藤田湘子

  蓼紅し十年がほどは疾迅裡  清水