何処までも冬の青空澄み渡り

 はまなすに青天鵞絨の海昏るゝ  内藤吐天

 あおぞらに外套つるし古着市  阿波野青畝

 あけび蔓引く青天を手繰り寄せ  内藤吐天 鳴海抄

 あらしがすつかり青空にしてしまつた  尾崎放哉

 コスモスを越えて蟷螂青天ヘ  阿部みどり女

 チューリップ青天へ温室の窓ひらく  黒木 野雨

 つばめきて青空たかき軒端かな  上村占魚 鮎

 どか雪のあとの青空手紙書く  木村敏男

 ほつかりと柚子青空に櫓の音す  日美清史

 雨止んでもとの青空龍の玉  児玉輝代

 雲ありてこその青空初点前  綾部仁喜 樸簡

 絵葉書の巴里の青空レモン切る