懐かしき故郷の風情草の市

 草市のものに蜩鳴きそゝぐ  京極杜藻

 草市のものに音たて日照雨  鷹羽狩行

 草市のものまつさきに暮れたりき  関戸靖子

  草市のもの流れゆく戦川  加藤常子

  草市のアイヌ見かけぬ月明下  石原舟月

  草市のホース長々奈邊より  中原道夫

  草市の一荷に蓮の開きたる  肥田埜恵子

 草市の中を葬禮通りけり  草市 正岡子規

  草市の人の出頃の俄雨  藤村藤羽

 草市の人妻の頬に白きもの  飯田蛇笏 霊芝

 草市の低き明りに仁王様  中津はる子

  草市の又不揃ひの苧殻購ふ  市橋 進

 草市の地割してゐ