牛市がすめば但馬に冬来ると 　浅賀渡洋 　目つむれば五体ゆるみぬ立冬後　 阿部みどり女 月下美人 　浸らばや冬来む前の寂けさに　 相生垣瓜人 　立冬の万年床を出できたる 　辻桃子 桃 　立冬の竹ひゞくまで日照雨かな 　藤田湘子 春祭 　甘鯛を焼いて燗せよ今朝の冬　 小澤碧童 　 　秣切りの刃色匂ふや今朝の冬 　久米正雉 　煌めいて立冬の朝の日差し…

　　今日は最高気温３０度 　　タンクトップで汗ばんでいる 　大風に湧き立つてをる新樹かな　　高浜虚子 　大風によろめきながら汐干狩　　阿部みどり女 　大風に子供喜び跳ねている　　アロマ 　大風の森ゆるがせり達磨市　　水原秋櫻子 　大風の街ひょっと「オズの魔法使い」来　　アロマ 　天上大風地上に春の花きそふ　　　角川源義 　大風に揺るる二…

　春宵のスカイツリーに夕日果て　 須賀敏子 　春宵や金平糖を振り出だす 　中根美保 　春宵や辛夷の花の仄として　アロマ 　春宵やさくら色なる食前酒 　森清信子 　春宵の星の煌めき麗しく　アロマ 　春宵やとうに忘れしことをふと　 湯川雅 　春宵やジャズの洩れくる路地の奥　 岡田史女 　春宵や路地裏に見る厨窓　　アロマ 　春宵をともして今日は締切日 　稲畑汀子 　春…

　通り雨秋茄子はじく肌もてり 　藤井美智子 　通り雨をどり通してはれにけり　 松本たかし 　欄干の通り雨なり夜の秋 大峯あきら 　宇宙塵 　ぎす跳ねる秋茄子畑の日照雨 　石原舟月 山鵲 　たらの芽に日照雨してやむ梢かな　 飯田蛇笏 霊芝 　鮎茶漬日照雨がうしろ通りけり 　石田小坡 　鮎釣に日照雨いくたび奥吉野 　唐下ひさし 　がまずみの花問はれたる日照雨かな　 寒食 星野麥丘人…

　草市のものに蜩鳴きそゝぐ　 京極杜藻 　草市のものに音たて日照雨　 鷹羽狩行 　草市のものまつさきに暮れたりき　 関戸靖子 　 草市のもの流れゆく戦川　 加藤常子 　 草市のアイヌ見かけぬ月明下　 石原舟月 　 草市のホース長々奈邊より 　中原道夫 　 草市の一荷に蓮の開きたる　 肥田埜恵子 　草市の中を葬禮通りけり 　草市 正岡子規 　 草市の人の出頃の俄雨　 藤村藤羽…

　明方の琥珀の殻よ空蝉は　　アロマ 　空蝉の琥珀を抜けし翡翠かな 　五島高資 　空蝉の縋りしかたちして置かる 　稲垣きくの 黄 瀬 　空蝉はタイサンボクに取り付いて　　アロマ 　空蝉の縋る一ト葉ももみづれり 　高澤良一 暮津 　空蝉の縋れる枝の折れゐたり 　辻田克巳 　空蝉の縋れる草は引かず置く 　相馬沙緻 　空蝉の谺とならず谿昏れる 　山田晴彦 　空蝉ハ 果シテ 風ノ 呪文トナ…