秋長けてほのぼの稲の薫する

 宵闇の稲の匂ひを歩きけり  知久芳子

 松原に稲を干したり鶴の声  才麿

 照り曇る檀風城址稲田寄す  野沢節子

 稲穂垂れ黄金眩しき秋の色  アロマ

 初とんぼ吹かれて稲へ落ちにけり  柏

 初秋の伏見稲荷の稲穂舞  小松生長

 徐々にして稲田に月の道敷かれ  能村登四郎 有為の山

 千枚田その一枚に稲を扱く  河本晴樹

 新米出始め炊飯の水加減  アロマ

 鉄棒に稲穂干されて休校日  浅見まき子

 道道の稲の出来見て山の湯ヘ  上村占魚 球磨

 道問ひし少年稲の香をもてり  町田美知子

 夜汽車明け稲の穂近し吾子近し  大串