一休み耶馬渓に食ぶ自然薯蕎麦

 満月を待ちをり蕎麦を啜りをり  菊地登紀子

 無佛寺の蕎麦につめたき清水かな  中勘助

 名月や先づ蓋とって蕎麦を嗅ぐ  服部嵐雪

 麺棒は父の手作り走り蕎麦  古田武子

 蓮枯れたりかくててんぷら蕎麦の味  久保田万太郎

 海老大きくて天笊美味き店  アロマ

 六月や椎茸煮出汁の御岳蕎麦  久保田万太郎 流寓抄

 茗荷の子けふ採れたれば昼は蕎麦  高澤良一 石鏡

 雉蕎麦を約し明年もよろしく  矢島渚男 延年

 とどきたる山家手打の月見蕎麦  水原秋櫻子 蘆雁以後

 にくからぬ深大寺蕎麦や初詣  水原秋櫻子 蘆雁

 みちのくの雪