一度のみ子規もバナナを詠みをれり 相生垣瓜人 明治草抄
上陸のたのしき学徒バナナ買ふ 杉田久女
夜の航武器のごとくにバナナを持ち 金子兜太
尺蠖や能なく剥がすバナナの皮 角川源義
朝市のバナナの山や雨季終る 高野素十
柵結ひてバナナの庭に豚飼へる 高田風人子
滝の神バナナ二本を供へたり 右城暮石 虻峠
灣曲し凍傷し宝玉値のバナナ 中村草田男
焦土来てバナナ売る灯を突切つたり 石川桂郎 含羞
煙突が見えてゐるだけバナナ黒し 橋閒石 朱明
老いらくの美醜是非なしバナナ食ふ