ミステリアスな歌劇

 深水黎一郎の「トスカの接吻-オペラ・ミステリオーザ-」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされている。本書は、薀蓄系の「芸術探偵」神泉寺瞬一郎が登場するシリーズ第二作である。
 昨年落成したばかりのニュー・トーキョー・オペラハウスで、世界的な人気を誇るオペラの演出家郷田薫の演出による、プッチーニ作曲の歌劇「トスカ」の第二回の公演が行われる。主役のトスカはイタリアから