来る秋・ある夜の内緒話(~詩2編~)

ある夜の内緒話

それは(虫たちの秘密の内緒話)
だれも聞いてはいけません。

てぃりてぃりてぃり
ジイージイージイー
ツーツーツー

もくもくの入道雲とおなじ歩幅の
少年たち
(宿題はおわったのかしら)

夜明けに
いつもひとりブランコ揺らしていた
赤いブラウスの乙女
(心はまだゆれうごいているのかしら)

夕暮れに燃え立つような(さるすべり)を
ずっとながめていたおじいさん
(想い出はよみがえったのかしら)

てぃりてぃりてぃり
ジイージイージイー
ツーツーツー

(きっと大丈夫
きっと大丈夫)

きっと一面の(いわしぐも)に
秋桜のすんだ香りがゆれ