ある夜の内緒話
それは(虫たちの秘密の内緒話)
だれも聞いてはいけません。
てぃりてぃりてぃり
ジイージイージイー
ツーツーツー
もくもくの入道雲とおなじ歩幅の
少年たち
(宿題はおわったのかしら)
夜明けに
いつもひとりブランコ揺らしていた
赤いブラウスの乙女
(心はまだゆれうごいているのかしら)
夕暮れに燃え立つような(さるすべり)を
ずっとながめていたおじいさん
(想い出はよみがえったのかしら)
てぃりてぃりてぃり
ジイージイージイー
ツーツーツー
(きっと大丈夫
きっと大丈夫)
きっと一面の(いわしぐも)に
秋桜のすんだ香りがゆれ