ニナ・リッチ香水瓶の愛らしく

 一滴もなき香水罎の強き匂ひ  内藤吐天

 一隅に香水立ちてかをるなり  山口誓子

 中年の香水ひそと華道展  前山松花

 五香水仏の臍をみつけたり  麦 光

 亡き人の香水使ふたびに減る  岩田由美 夏安

 亡き妻の香水を子が乱用す  前山松花

 何よりも香水選ぶ夜もあり  対馬康子 純情

 其人の香水の香を憎みけり  色部みつぎ

 初芝居香水強き人の居て  富樫美津子

 医師去りて香水一滴ねだりけり  影島智子

 唇に香水の香のうつりをり  仙田洋子 橋のあなたに

 妻と同じ香水なれば善人に見ゆ  近藤馬込子

 子離れの日より